F&Pの歴史

アントニオ猪木の言葉に背中を押されて決断

前職の大手ゼネコン会社を辞めようと思ったのは、34歳で最年少部長に就任した1カ月後です。様々な変化があり、自分の人生という時間を有意義に活かすには、どうあるべきかを考え悩みました。以前から、複数の大手企業様から転職の誘いを受けることはあったのですが、建設業に対する思い入れが強くて、他業界に行く気にはなれませんでした。「やりたいことを素直にやったほうがいい。独立して可能性を試してみたい」と考えながらも、「失敗したらどうしよう」という不安がよぎり、半年くらい決断できずにいたんです。

そんなとき、たまたま本屋で「アントニオ猪木自伝」という本を手に取りました。そこには、アントニオ猪木が引退するときにファンに向けて話した「道」という詩が載っていました。

「この道を行けば、どうなるものか。危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。
踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ、行けばわかるさ」

まるで、迷っている自分に向けられた言葉のようでした。「やってみなきゃわからないんだ!」と背中を押され、その3日後に辞表を出したんです。一歩踏み出さないと新しい世界には行けない。会社ではたくさんの仕事を抱えていたので、まず辞めないことには起業プランも考えられないと思いました。

裸一貫、ゼロからの起業!

起業はまさに裸一貫のスタートでした。自分の貯金は300万円しかなかったので、高校や大学時代のラグビーやゼミの仲間25人から20万ずつ、合計500万円を借りました。その他多くの方からもご支援いただいて、開業資金1200万円を集めました。このとき助けていただいた方々には心から感謝しています。一生忘れることはありません。
社名は今でも尊敬する経営者の方からの助言もあり、「フクダ・アンド・パートナーズ」に決定。「お客さまの真のパートナーでありたい」「福田と旅をする仲間たち」という二つの意味が込められています。

開業時は社員を雇用する前に、弁護士、公認会計士の先生方と委託契約し、更に1名の社員と共にスタート。銀行の借り入れはゼロで、運営資金は資本金のみ。最初に借りた事務所は、机3つで3万円の家賃。建設と不動産の知識と経験を活かして、なるべくコストをかけず、できることを精一杯やるしかありません。人も少ない、お金もないため、自分が得意で競争相手も少ない物流・商業施設作りにターゲットを絞り込み、自分の力をお客様のために、最大限活かすことに集中しました。

最初の3年間は、数ヶ月後に給料が払えないかもしれない…という状況が何度もありました。危機を何とか乗り越えるたび、お金の大切さや仕事を頂けるありがたさを痛感しました。とにかく毎日が必死で、悩む暇もなく、ほぼ365日休み無しで働きました。
実際にお客様のニーズに応えるためには、一級建築士などの専門家が必要です。できれば、開発や建築支援に必要な意匠・構造・設備・土木・金融、不動産の専門家がフルラインで必要だと考え、お客様の役に立てる体制作りを目指しました。試行錯誤を繰り返し、お客様の声を聞き、考え、実行するというプロセスの中で、独自の「コ・ソーシングサービス」が進化してきました。一方で、お客様の専門パートナーとして存在価値を高めるために、数々の課題解決に本気で取組みました。その結果「One More Try!」というF&P スピリットが生まれ、物流・商業施設作りで独自の実績ができました。

物流と商業施設に特化した建設と不動産のコ・ソーシングサービス

“コ・ソーシング”という言葉を使うようになったのは、2期目からです。ある経営者から教わったことと、自分のやりたい事が一致しました。コ・ソーシングというのは、発注側の企業と依頼を受けた企業が、お互いの経営資源やビジネスプロセスを共有して活用する仕事のやり方です。一部の業務を一方的に外部委託するアウト・ソーシングと比べると、よりお客様と深く関わり、専門パートナーとして企業価値向上に貢献できます。
当社では、物流と商業施設に特化した建設と不動産のコ・ソーシング事業を展開しています。不動産建設の専門スタッフがお客様の立場に立って、「不動産開発」「建設計画」「事業計画」を最適な形で実現させていきます。
具体的には、お客様の「建設部」や「不動産部」の機能代行をしたり、プロジェクトごとに施設計画段階から運営までのPJM(プロジェクトマネジメント)業務を受託しています。これによって、お客様の業務効率と高品質化、プロジェクトのローコスト化、適正判断、更にはお客様の企業価値向上に貢献します。

新業態にチャレンジし、幅広い顧客ニーズに応えて成長

振り返ると経営は山あり谷ありでしたが、結果としては、業績は右肩上がりで成長してきました。社員の地道な努力の積み重ねがあってこその成果だと思います。また、F&P独自のビジネスモデルを構築し、信念を曲げずに行動し続けた結果でもあります。
当社は従来の設計事務所や、コンサルタント、不動産会社のあり方とは少し違った新しい業態にチャレンジしてきました。業界は物流と商業施設に絞っていますが、お客様のニーズに応えるためにサービス領域を広げ、様々なフェーズに対応できるサービスを提供しています。お客様が利用しやすいように、プランニングだけや、工事費の査定や交渉、家賃交渉や調査、テナントヒアリングのみのサービスなど、必要な機能補完だけの業務を受託できます。

また、新築だけでなく補修や解体も含め、建物のライフサイクル全般をケアできるようになっています。このような企業は、他にありません。お客様のパートナーとして一緒に歩みたいと考え、建物のライフサイクルに沿って、どの業務・どのフェーズでもサポートできる仕組みを作りました。
従来からある個々の業務にも、自信を持っています。物流施設の設計・監理やPJMの売り上げを全国設計事務所売上ランキング2021年度、倉庫・物流施設部門に照らし合わせると、全国2位相当の売上を上げています。物流・倉庫づくりの実績は、創業20年で既に延床面積624万坪を超えました。物流施設のテナントリーシング、商業施設作りの調査や基本プランの実績も豊富です。施設作りの川上である不動産調査や、計画から設計、監理、運営まで一貫して取り組めるPJM(プロジェクトマネジメント)は、当社の特徴ある業務だと思います。施工以外のほとんどのニーズに対応できることが強みです。

事業が急成長し、軌道に乗った2007年、実は思いがけない出会いがありました。新幹線で、アントニオ猪木が目の前に座っていたんです。「猪木さんの言葉に背中を押されて独立しました。今こうして頑張っています」と挨拶をして、持っていた会社のリーフレットを見せました。直接会ってお礼が言えて嬉しかったです。猪木さんも喜んでくれました。

お客様から愛され、信頼される存在として次のステージを目指す

コ・ソーシングは、お客様から真のパートナーとして認められなければ成り立ちません。常に専門性を磨き、サービスの継続的改善を図り、更に進化し続ける必要があります。「ダーウィンの種の起源」の生き残りは、「最も強い者でも賢い者でもなく、環境に順応した者」。「ごく小さな違いが生存のための決定的要素になる」とも言われています。
日々、お客様にいかに役に立つかを本気で考え、知恵を出し、行動する中で、イノベーションに繋げるような価値ある仕事をしていきたいと思います。それを表現するためのF&Pスピリット「One More Try!」は当社の合言葉でもあります。 私たちは、お客様のために常に「もう一回の努力」を惜しみません。「できない」ではなく「できるようにする」ためにどうするかをもう一度考えて、粘り強く取り組みます。やり遂げる心構えをもって業務にあたる姿勢や努力が、新しい価値を生み出すことに繋がっていくのです。

2011年3月11日に起きた東日本大震災では、当社も被災地のライフラインの確保のため、翌日から現状把握、応急工事と社員全員で復旧に全力を投じました。我々が取り扱っている物流施設や商業施設は、人々の生活のライフラインです。1日でも早く施設を復旧、稼動できれば、生活者の方にも1日早く食品を届けられます。「世の中に役立つことが当社の使命」と思い、休まず取組みました。対象施設は72施設、おかげさまで多くのお客様からその迅速な対応と、ネットワークを駆使した機動力に高い評価を頂きました。しかし、その一方で、もっと多くの人に当社の機能を知って頂けたら、もっと多くの人の役に立てたのではないかと、もどかしい思いもありました。

今後当社では、コ・ソーシングサービスのインフラ化にチャレンジします。より多くの方々に利用しやすいサービス、専門性を追及することはもとより、海外も含めてエリアパートナーや外部パートナーとの連携を図り、多くのエリアで多くのお客様のために、機動力を発揮できるように成長していきたいと思います。

創業当時の「お客様に役に立たずして明日は無い」という想いを忘れず、現在もお客様のためチャレンジし、走り続けています。